デイリー・アップデート

2018年8月24日 (金)

[豪州] 8月21日に与党自由党が党首選を実施し、ターンブル首相がダットン内相を破って再選。しかし党首選後にダットン氏を含む10人の閣僚が辞意を表明し、ダットン氏は党首選の再実施を主張。これを受け23日、ターンブル首相は過半数の党所属連邦議員の要求があれば24日にも党首選を実施し、その場合自身は出馬しないと発言した。

[トルコ] トルコ政府は引き続き米国人のブランソン牧師を自宅軟禁状態においており、トランプ政権の求める同氏の釈放に応じる様子は見せていない。エルドアン大統領は、同氏の釈放と引き換えに、米国で進むトルコの銀行に対するイラン制裁違反捜査の中止を求めており、これがトランプ大統領を怒らせたものとみられる。他にも両国間には、ギュレン師引き渡し問題や米国によるシリア国内クルド勢力支援の問題など、問題が山積している。

[インド] 大手格付会社ムーディーズは、都市・農村部の強い需要と産業活動が主にけん引し、2018年度(4月~翌3月)の実質GDP成長率は7.5%になると予測。インフレ率は油価上昇により一時的に上昇するとし、インド準備銀行は2019年まで金融政策の引き締めを引き続き実施すると想定している。

[日本] 7月の消費者物価指数(総合)は前年同月比+0.9%、生鮮食品を除く総合(コア)は同+0.8%となった。それぞれ22か月、19か月連続のプラス。酷暑・豪雨の影響で生鮮野菜・生鮮果物・生鮮魚介が、原油等の影響で電気代・ガソリン価格が、それぞれ上昇した。財価格の同+1.7%に対して、サービス価格は同+0.2%にとどまっている。物価は、体感として上昇する一方で、基調は強くない状況が当面続く見通し。

[米国] 米国の主要シェールオイル生産地、Permian盆地での原油生産量が過去最高を更新するなか、シェール生産時の排水も増加しており、排水処理に大きなビジネスチャンスがあるとして注目されている。シェール生産は、高圧の水を井戸に注入し石油ガスを生産する「水圧破砕技術」によって支えられており、Permian盆地では毎日オリンピックプール1,000個分の水が使用されている。

[ブラジル] ブラジルのレアルが下げ足を速め、2015年につけた史上最安値の4.27が視野に入ってきている。ブラジルが主産地である砂糖やコーヒー、大豆などの農産物価格はドル建てで大きく下げているが、レアルが対ドルで25%減価している影響も大きい。特に大豆は米中貿易戦争の影響も加わり、年初来大きくドル建て価格を下げたものの、高まるブラジル・プレミアムやレアル安を加味すればレアル建てではプラス圏となっている。

[ロシア] ルーブル下落を阻止するため、ロシア中銀は9月までルーブル売り・外貨買いを停止すると発表した。ここ数日、米国による新たな対ロ制裁案に対する警戒が高まり、ルーブルは下げ足を速めていた。

[欧州委員会] イランのJCPOA維持のための1,800万ユーロの支援を発表。目的は、アメリカの対イラン制裁再開によるイランの経済・社会への影響の緩和。1)800万ユーロが中小企業を中心とした民間企業救済、2)800万ユーロが環境対策のための技術サポート、3)200万ユーロが薬物依存対策費用とされる。

[韓国] 文在寅大統領の支持率は、80%台(5月、南北朝鮮首脳会談)から、50%台(8月20日公表)まで急落しているが、調査会社は、与党「共に民主党」出身の知事らのスキャンダル(セクハラ、世論操作)、年金制度改正への不満、経済政策への不満などを原因と見ている。7月の就業者数は、前年同月比わずか5000人増にとどまり、2010年1月以来の低水準増となった。

[米国] 通商拡大法232条に基づく鉄鋼アルミ輸入関税の導入から5か月、米国鉄鋼セクターの稼働率は直近で79%台と、当初ロス商務長官が示した80%の目標に迫る。アルミセクターでは21日、Century Aluminumがケンタッキー州の製錬所の電解炉の1つを正式に再稼働し、ロス長官出席のもと式典が行われた。だがサプライチェーンのコスト増、中国の過剰生産等の問題は残る。301条に基づく新たな関税導入で米国消費者の痛みは今後強まる可能性がある。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

17人が「いいね!」と言っています。