デイリー・アップデート

2018年8月31日 (金)

[EU] ロシアとドイツを結ぶ2本目のガスパイプライン、Nord Stream 2の建設開始。同パイプラインを巡り、今年7月のNATO首脳会談でトランプ米大統領が「ドイツはロシアによって完全にコントロールされている」と発言し、建設に関わる企業に制裁を課す可能性を示唆するなど、米政府は批判的。EUのエネルギーの脱ロシア依存目標とも逆行するが、ドイツ政府は同パイプラインは商業的プロジェクトとの認識。マース独外相は、米政府のEUエネルギー政策介入の試みを批判。

[イラク] 米国の対イラン制裁第2弾が11月に発動されるのに伴い、イランからのエネルギー輸入を含めイランとのほとんど全ての取引が制裁対象となるが、イラクはイランの隣国で農産品や電化製品、ガスや電気に至るまでイランからの輸入に大きく依存しているため、米政府に特例扱いを要請する予定。しかし、イラクに特例を認めてしまうと、イランに制裁の抜け道を与えてしまうことになり、制裁の効果が薄れてしまうことを米政府は懸念。

[マレーシア/インド] 8月30日、WTOは、インドが今月始めから25%の輸入関税を課している太陽電池に関し、マレーシアがWTOのセーフガード委員会に対し協議を求めている、と言及した。インドは、中国・マレーシア製の太陽電池の輸入に対し、同製品を生産する国内企業を保護するため2年間関税を25%に引き上げている。

[日本] 7月の鉱工業生産指数は前月比▲0.1%と、やや減産となった。輸送機械、汎用・生産用・業務用機械、鉄鋼、非鉄金属などの生産が減少した。減産は3か月連続となり、生産の基調判断は下方修正された。また、7月の有効求人倍率は1.63倍と改善した一方で、完全失業率は2.5%と前月よりやや悪化した。豪雨や猛暑など天候による一時的な動きとみられるものの、貿易摩擦問題の影響の広がりなど今後の動向が注目される。

[天然ガス] トランプ米大統領による制裁の脅しとEUからの批難を受けているNord Stream2パイプラインの建設にドイツが着工。同パイプラインはロシア=ドイツ間の天然ガスパイプラインで完工すれば年間輸送能力は110bcmに倍増し、ウクライナ経由の天然ガス輸送の減少に繋がる。パイプラインは露国営ガス会社Gazpromが運営し、ドイツ政府が政策的に支持するが、EUの多くの国は欧州のロシアに対するエネルギー依存度を高め、ウクライナへの政治的武器として使用されるとして建設に反対している。

[ロシア] 石油大手4社が発表した2018年第2四半期の決算では、原油価格の上昇やルーブル安が追い風となり、いずれも増収増益となった。

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