デイリー・アップデート

2021年5月6日 (木)

[米国] 下院共和党指導部ナンバー3の下院共和党会議議長に就任しているチェイニー下院議員はトランプ前大統領を批判する主張を繰り返しているが、下院共和党指導部ナンバー2のスカリス共和党下院院内幹事がチェイニー氏を下院共和党会議議長から交代させることを支持する意向を表明。下院共和党指導部トップのマッカーシー共和党下院院内総務もチェイニー氏の同ポスト交代を支持しており、トランプ前大統領の下院共和党への影響力増大を反映しているとみられる。

[欧州] 欧州統計局(Eurostat)によると、ユーロ圏の2021年第1四半期の実質GDP成長率は前期比▲0.6%となり、2四半期連続のマイナスとなった。夜間外出禁止や都市封鎖などによって経済活動が抑制されたため。国別にみると、ドイツが▲1.7%、スペインが▲0.5%と3四半期ぶりのマイナスに転じた。イタリアは▲0.4%と2四半期連続のマイナス、フランスは+0.4%と2四半期ぶりのプラスになるなど、国によって景気の方向感は異なっている。

[中国] シノペックは、第14次5か年計画期間中、天然ガス事業に2,000億元(約3.37兆円)を投資し、取扱量を2020年の445億m3(市場シェア17%)から2025年には1,000億m3(同22%)に倍増する目標を明らかにした。販売面では3社の販売子会社を統合すると共に新たに16の省レベルの販社を追加してカバーエリアを増やす。天然ガス生産量では中国石油の1/4という劣勢をカバーするため、沿岸地域に新たに10か所のLNG受入れ施設を増設し、2025年には3,980万トンの受入れ能力実現を目指す。

[中国/EU] 5月5日、欧州委員会は、域外国から補助金を受けている企業による欧州企業の買収などに関する規制案を発表した。5億ユーロ以上の買収や2.5億ユーロ以上の公共調達参加について、欧州委員会への通知を義務付ける。主に中国を念頭に置いた措置で、公平な競争をゆがめると判断された場合は、取引停止や罰金などを命じられるようにする。また、同委は産業戦略の改定についても発表し、戦略物資の脱中国依存や、新興技術の標準設定プロセス主導に力を入れていくとしている。

[イスラエル] 3月23日の選挙後に組閣を任命されたネタニヤフ現首相が期限内の組閣に失敗。5月5日、リブリン大統領は、同選挙で第2党となった「イェシュ・アティード(希望がある)党」のラピード党首に組閣を命じた。ラピード氏が組閣に成功すれば、12年続いたネタニヤフ氏の長期政権がようやく終焉を迎えることになるが、同氏は現在刑事裁判中のため、首相職を死守しようとすることが予想される。

[米国] 5月4日~13日の間、米国の「アフリカの角」地域担当特使がエジプト、エリトリア、エチオピア、スーダンを訪問中。バイデン政権は4月23日に元外交官のジェフリー・フェルトマン氏を同特使に指名。エチオピア・ティグレ地域紛争や、大エチオピア・ルネサンス・ダムをめぐる関係国間の摩擦などの調整役を担うとみられる。バイデン大統領は3月にも民主党上院議員をエチオピアに派遣し、ティグレ紛争に関する懸念を伝えている。フェルトマン特使は過去に駐レバノン大使や近東担当国務次官補などを務め、中東情勢に明るい。

[ウクライナ] ブリンケン米国務長官が5月5~6日の日程で、ロシアとの緊張が続くウクライナの首都キエフを訪問予定。ゼレンスキー大統領やクレバ外相らと会談し、同国に対する米国の「揺るぎない支持」を改めて表明する。ウクライナ国境で軍部隊を大幅に増強するなど同国への圧力を強めるロシアを牽制する狙いがある。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

16人が「いいね!」と言っています。